相続税申告を税理士に依頼するメリット
相続が発生したとき、相続税の申告が必要になるケースがあります。
とはいえ、相続税は計算が複雑で専門的な知識が求められるため、自分で対応するには大きな負担となる場合もあります。
そこで頼りになるのが、税理士などの専門家の存在です。
今回は、相続税申告を税理士に依頼する主なメリットを解説します。
相続税の申告とは
相続税の申告とは、被相続人が亡くなった後、相続財産が基礎控除額を超える場合に必要となる手続きです。
相続税が課税されるかどうかを判断するには、財産の評価や債務の確認、控除の適用など多くの要素を考慮する必要があります。
そのうえで、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に、申告書を提出しなければなりません。
申告期限を過ぎると、加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。
税理士に依頼することで得られる5つのメリット
税理士に相続税申告を依頼すると、以下のようなメリットがあります。
- 財産評価の専門的な判断が受けられる
- 税金の軽減策を提案してもらえる
- 書類作成や提出を任せられる
- 税務調査への対応力がある
- 精神的な負担を軽減できる
それぞれ確認していきましょう。
財産評価の専門的な判断が受けられる
相続税の計算では、現金や預金だけでなく、不動産や有価証券、自動車、骨董品といったさまざまな財産を適正に評価する必要があります。
特に難しいのが、不動産や非上場株式の評価です。
たとえば不動産の評価は、土地の地形や面積、接している道路の幅、近隣の利用状況といった要素が複雑に絡み合います。
税理士は、評価基準や実務に精通しており、税務署に対して妥当性を説明できるノウハウを持っている専門家です。
税理士による財産評価は、正確性だけでなく、節税や安心感といった面でも大きな価値があります。
税金の軽減策を提案してもらえる
税金の軽減策を提案してもらえるのも、税理士に依頼するメリットです。
相続税には、一定の条件を満たせば税負担を抑えるための優遇制度が複数あります。
しかし制度ごとに、適用要件が細かく設定されているため注意が必要です。
内容を正確に理解しなければ、本来受けられるはずの軽減措置を見落とす可能性があります。
たとえば「小規模宅地等の特例」は、相続人の居住実態や建物の所有関係、相続後の利用状況によって適用の可否が変わります。
税理士は、制度の構造と適用実務に精通しているため、相続人の状況に合わせた軽減策の提案が可能です。
相続税の申告に関して不安がある場合は、税理士のアドバイスが欠かせません。
書類作成や提出を任せられる
税理士に依頼すれば、面倒な書類作成や提出も一括して任せられます。
相続税申告に必要な書類の一例として、以下のようなものがあります。
- 相続税申告書(第一表~第十五表)
- 財産目録
- 戸籍謄本や住民票の除票
- 評価資料(固定資産税評価証明書、不動産の登記事項証明書など)
- 遺産分割協議書
書類の作成には、専門的な知識が必要になるものも少なくありません。
税理士に依頼すれば、書類の不備などを指摘されるリスクが大幅に下がります。
税務調査への対応力がある
相続税の申告が完了した後、税務署から調査を受ける可能性があります。
税務調査は、申告された財産の評価や特例の適用内容、名義預金の有無などを重点的に確認する場です。
現金や預金の管理状況や、故人の生前の資金移動に関する疑問が生じた場合、相続人自身が口頭で説明しなければならないこともあります。
税理士が関与していれば、税務調査があっても、スムーズに対応してもらえます。
精神的な負担を軽減できる
相続が発生した直後は、冷静な判断が難しい状態にあるひともいます。
感情の整理がつかないうちに、各種の手続きや遺産分割の話し合いが始まり、心身ともに疲弊するケースも少なくありません。
さらに、相続手続きでは、期限が定められているものが多く存在します。
財産の調査、評価、書類の収集や作成などをすべて自力で行おうとすると、肉体的・精神的な負担が限界に達する可能性も否定できません。
税理士に依頼すれば、必要な手続きを、順を追って進めてもらえます。
トラブルを未然に防ぐ第三者の立場としても、税理士の存在は重要です。
税理士の選び方と依頼のタイミング
税理士を選ぶ際には、相続税申告の実績が豊富な専門家を選ぶのが大切です。
税理士にも得意分野があり、法人税や消費税を中心に取り扱っているひともいます。
最低限の条件として、相続税に詳しいかどうかは事前に確認しましょう。
依頼するタイミングとしては、相続が発生してからできるだけ早い段階がおすすめです。
早めに相談すれば、書類の整理や節税対策がしやすくなり、申告期限に余裕を持って対応できます。
税理士に依頼した場合の費用相場
税理士に相続税申告を依頼する場合の費用は、財産の総額や内容によって異なります。
一般的な費用相場は、相続財産の0.5〜1.5%程度です。
たとえば、遺産総額が5000万円の場合、報酬は50万円前後になるケースが多いようです。
ただし、あくまで目安のため、事前に見積もりをもらってから契約してください。
まとめ
今回は、相続税申告を税理士に依頼するメリットを解説しました。
相続税申告には専門的な知識が必要で、誤った対応をすると、不要な税金やペナルティが発生する可能性もあります。
税理士に依頼すれば、財産評価や節税対策、書類作成などを的確に行ってもらいつつ、精神的な負担も大きく減らせます。
相続手続きに不安がある方は、早めに相続税に詳しい税理士に相談しましょう。
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