不動産を相続した場合の相続税は?~相続税の計算方法~
不動産を相続したとき、相続人は相続税や登録免許税といった複数の税金を支払う必要があります。
しかし、これらの税金がどのように計算されるのか、また、どうすれば税金の負担を軽減できるのか、その仕組みは複雑で分かりにくいものです。
この記事では、不動産の相続税評価額と相続税の計算方法、そして節税の方法について解説いたします。
不動産を相続したときに発生する税金
不動産を相続した際には、2つの税金が課されます。
まず、相続財産の総額が基礎控除額を超えた場合に課される相続税です。
次に、不動産の名義を変更する相続登記の際に課される登録免許税です。
これらの税金は、相続手続きを進める際に必要になる可能性があります。
特に相続税は、不動産の評価額によって大きく変動するため、事前の対策が重要です。
相続税
相続税とは、被相続人から遺産を相続した際に、一定の金額を超えた場合に課される国税です。
不動産も相続財産の一部として評価され、相続税の課税対象となります。
不動産の相続税評価額は、時価とは異なる特別な方法で算出されます。
この評価額が高額になると、相続税額も高くなります。
相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。
不動産の評価方法が相続税額を大きく左右するため、専門的な知識が必要です。
登録免許税
登録免許税とは、不動産の名義変更(相続登記)の際に課される税金です。
相続登記は、2024年4月1日から義務化されたため、不動産を相続した人は必ずこの税金を納めなければなりません。
税額は、不動産の固定資産税評価額に、相続の場合であれば0.4%という税率をかけて計算されます。
登録免許税は、相続登記を行う際に必ず発生する費用であり、現金で納付します。
不動産の相続税評価額の計算方法
不動産の相続税評価額は、時価とは異なり、国税庁が定めた特別な方法で計算されます。
土地と建物で評価方法が異なります。
土地の評価方法
土地の評価方法は、路線価方式と倍率方式の2つがあります。
路線価方式は、国税庁が定めた、道路に面する宅地の1平方メートルあたりの価格(路線価)を基に評価する方法です。
路線価が定められている地域で適用されます。
路線価に土地の面積や、形状、奥行き、間口などの要素を考慮した各種補正率をかけて評価額を算出します。
このため、同じ面積の土地でも、形状が悪い土地や不便な土地は評価額が低くなります。
倍率方式は、路線価が定められていない地域で適用される方法です。
固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価額を算出します。
どちらの方式を用いるかは、国税庁の財産評価基準書で確認できます。
建物の評価方法
建物の評価方法は、土地の評価ほど複雑ではありません。
建物の相続税評価額は、固定資産税評価額をそのまま使用します。
固定資産税評価額は、3年に1度見直され、市町村が定めます。
一般的に建物の相続税評価額は、固定資産税評価額の7割程度になります。
固定資産税評価証明書を取得することで、評価額を確認できます。
相続税の計算
相続税の計算は、まず、相続財産総額の確定から始まります。
不動産の評価額や預貯金、有価証券など、すべてのプラスの財産を合計し、借金などのマイナスの財産を差し引きます。
次に、基礎控除額を計算します。
■基礎控除額 = 3000万円 + (600万円×法定相続人の数)
上記の計算式で産出される基礎控除額を超えた場合に相続税が課されます。
そして、基礎控除額を超えた金額を法定相続分で分割し、それぞれに税率をかけて税額を算出します。
最後に、算出された税額を合算して、相続税の総額を確定します。
不動産相続時の節税の仕方
不動産を相続した際の節税方法には、2つあります。
小規模宅地等の特例は、被相続人が住んでいた自宅の土地を、特定の要件を満たす相続人が相続した場合に、土地の評価額を最大80%減額できる制度です。
この特例は、大きな節税効果が期待できます。
賃貸住宅の建設も有効な方法です。
相続した土地に賃貸住宅を建設することで、土地や建物の評価額を下げることができます。
また、相続した土地を誰かに貸していた場合、相続税評価額が減額されます。
減額の割合は、30%~90%の範囲内です。
まとめ
不動産を相続した際には、相続税と登録免許税が発生します。
不動産の相続税評価額は、土地が路線価方式や倍率方式、建物が固定資産税評価額で計算されます。
相続税は、相続財産総額から基礎控除額を差し引いて計算されます。
小規模宅地等の特例や賃貸住宅の建設、生前贈与などを活用することで、節税することができます。
相続でお困りの際は、ぜひ税理士にご相談ください。
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