相続税の課税対象となる財産とは
相続税とは、被相続人(亡くなった方)の一定の基準を超えた財産を相続する場合に課される税金のことをいいます。
とはいえ、被相続人の残したすべての財産が課税対象になるわけではなく、非課税対象となるものもあります。
本稿では、相続税の課税対象となる財産や非課税財産について詳しく解説していきます。
相続税の課税対象となる財産
相続税の課税対象となる財産とは、下記の4つです。
- 被相続人が亡くなった時点において所有していた財産
- みなし相続財産
- 被相続人から取得した相続時精算課税適用財産
- 被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産
それぞれについて確認していきましょう。
被相続人が亡くなった時点において所有していた財産
相続税の課税対象となる財産として次のようなものが挙げられます。
現金や預貯金
被相続人が残した現金や預貯金は、相続税の課税対象財産となります。
銀行口座の預貯金は、相続開始日を基準として一般的には残高証明書を取得し、それに基づいて評価されます。
不動産
相続税の課税対象となる財産として、土地や建物などの不動産が挙げられます。
不動産の評価額の算出方法は、国税庁から公表されている路線価や固定資産税評価額をもとに行うことができます。
ただし、評価方法については立地や土地の用途など状況によって異なります。
不動産の評価について不安をお持ちの方は税理士などの専門家に相談することを検討してみてください。
有価証券
相続税の課税対象となる財産として、株式、投資信託、国債などの有価証券が考えられます。
これらは、相続開始日における市場価格や公表されている基準価額などを基に評価されます。
また、非上場株式の場合は、特別な評価基準が適用されることがあります。
動産
高額な美術品や貴金属、車両などの動産も課税対象です。
これらの財産は鑑定や専門家による評価が必要になる場合があります。
事業用資産
被相続人が事業を営んでいた場合、その事業に関連する資産も課税対象となります。
機械装置や棚卸資産などが含まれます。
みなし相続財産
相続開始後に取得した財産の中には、相続税の課税対象と見なされるものがあります。
代表的な例として以下のものが挙げられます。
生命保険金
被相続人が契約者であった生命保険金のうち、法定相続人1人あたり500万円を超える部分が課税対象です。
死亡退職金
被相続人の勤務先から支給される死亡退職金も、法定相続人1人あたり500万円を超える部分が課税対象となります。
被相続人から取得した相続時精算課税適用財産
被相続人から生前に贈与を受け、贈与税の申告の際に相続時精算課税を適用していた場合、その財産は課税対象となります。
なお上限は2500万円となります。
被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産
被相続人から相続などによって財産を取得した人が、被相続人が亡くなる前3年から7年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、課税対象となります。
非課税財産
相続税の計算に含まれない非課税財産も存在します。
以下に代表的なものを紹介します。
墓地や仏壇
墓地や墓石、仏壇などの宗教的な目的に使用されるものは非課税財産です。
ただし、投資目的や商業利用される場合には課税対象となります。
公益性のある寄付財産
相続で取得した財産の一部を国や地方公共団体、公益法人などに寄付した場合、その寄付財産は非課税となります。
ただし、寄付の目的や寄付先によっては、非課税とならない場合もあるため注意が必要です。
相続財産から控除できる債務
相続税の課税額を計算する際、相続財産の中から控除できる債務や費用が存在します。
これらを適切に申告することで、課税対象額を減らすことができます。
被相続人の債務
被相続人が亡くなった時点で負担していた借入金、未払金、住宅ローンなどは相続財産から控除することができます。
未払金には、未払いの税金、医療費、家賃、公共料金などが含まれます。
葬儀費用
葬儀費用も相続財産から控除できる費用に含まれます。
火葬や埋葬、納骨の費用などが控除対象です。
ただし、香典返しのための費用などは控除の対象外となるため注意してください。
まとめ
相続税の課税対象となる財産には、現金や預貯金、不動産、有価証券、動産、みなし相続財産などが含まれます。
一方で、墓地や仏壇、公益性のある寄付財産などは非課税財産として扱われます。
相続税の申告を適切に進めるためには、財産の正確な把握と評価が不可欠です。
相続に関することは、佐藤秀司税理士事務所までお気軽にご相談ください。
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