自動車に相続税はかかる?相続税の評価額の計算方法を解説
現金や不動産に比べて、自動車の相続手続きはあまり焦点を当てられることがありません。
しかし、自動車の相続には、把握しておくべきことが多くあります。
本記事では、自動車の評価方法や自動車相続における注意点について解説します。
自動車に相続税はかかる?
被相続人が所有していた自動車は、預貯金や不動産と同様に、相続税の課税対象となる本来の相続財産に含まれます。
たとえ年数が経過している古い車両であっても、財産的な価値があるとみなされる限り、申告から漏らすことはできません。
自動車の相続税を考える上で重要なのは、被相続人が亡くなった時点で、その自動車にいくらの価値があったかを正しく算定することです。
高級車や希少性の高いクラシックカーはもちろん、一般的な乗用車であっても、相続税の基礎控除額を超える遺産がある場合には、適切な評価を行い、他の財産と合算して申告する必要があります。
自動車の評価方法とは
相続税における自動車の評価は、原則として一般動産の評価ルールに従います。
税務上の基本的な考え方は、その車両を、現段階で中古車市場で購入しようとしたらいくらになるかという時価を基準とすることです。
以下が具体的な3つの評価手法です。
- 売買実例価額
- 精通者意見価額
- 減価償却を用いた評価額
それぞれ確認していきましょう。
売買実例価額
自動車の評価において一般的で、実務上も推奨されるのが売買実例価額を用いる方法です。
これは、同等の中古車が市場でいくらで取引されているかを基準にする考え方です。
具体的には、インターネットの中古車販売サイトなどで、同じ車種、年式、走行距離、グレードの車両がいくらで販売されているかを調査し、その価格を参考に評価額を決定します。
また、より客観的な証拠となるのが、中古車買取業者による査定価格です。
複数の買取店に査定を依頼し、提示された金額の平均や、信頼できる業者の査定額を評価額とすれば、税務署に対しても強力な根拠となります。
精通者意見価額
精通者意見価額とは、その道の専門家や業界に詳しい人の意見を聞いて算出される価額のことです。
一般的な乗用車であれば中古車業者の査定で十分ですが、特殊な車両や希少車の場合はこの方法が用いられる場合があります。
たとえば、市場にほとんど出回っていないクラシックカーや、特殊なカスタマイズが施された車両、あるいは大型の特殊作業車などは、一般的な中古車相場だけでは適正な価値が判断できません。
このような場合、専門の鑑定士や、その車種を専門に扱うディーラーなどの鑑定結果を精通者の意見として採用します。
評価が非常に難しい車両については、専門家に依頼して鑑定評価書を作成してもらうことで、税務リスクを抑えた適正な申告が可能になります。
減価償却を用いた評価額
新車で購入してからあまり期間が経過しておらず、中古車市場での比較が難しい場合や、簡便的に算出したい場合には減価償却を用いた計算が行われることもあります。
これは、購入価額から、購入時から相続時までの減価償却費を差し引いて現在の価値を求める方法です。
国税庁の規定に基づき、家庭用の乗用車であれば法定耐用年数である6年を基準に計算します。
たとえば、定率法を用いて毎年の価値の減少分を計算し、未償却の残高を評価額とします。
ただし、市場価値が大幅に高騰しているプレミアム車種などの場合は、この計算結果が実態と大きくかけ離れてしまうことがあります。
実務上は、あくまで市場価格が不明な場合の補完的な手法として捉えることが重要です。
自動車を相続する際の注意点
自動車の相続には、単に税金の計算をするだけでなく、名義変更などの実務的な手続きが伴います。
この手続きにおいて、注意すべき点がいくつかあるため、確認していきましょう。
共有名義にすると手間が増える
遺産分割の話し合いがまとまらないからといって、自動車を複数の相続人で共有名義にすることはあまりおすすめできません。
自動車は動産でありながら、登録制度によって管理されているため、売却や廃車、あるいは事故の際の保険手続きにおいて、共有者全員の同意や書類が必要になるからです。
たとえば、将来その車を手放そうとしたときに、共有者の1人が海外にいたり、連絡が取れなくなっていたりすると、スムーズに手続きが進みません。
また、自動車の維持費の負担割合を巡って親族間でトラブルに発展するケースも考えられます。
資産価値や利便性を考慮し、最終的には特定の1人が所有権を引き継ぐ形に整えるのが、賢明な判断と言えます。
自動車保険の契約変更や解約をする必要がある
見落としがちなのが、自動車保険の手続きです。
被相続人が契約していた自動車保険は、名義変更の手続きを行わない限り、相続人がそのまま引き継ぐことはできません。
もし手続きを怠ったまま事故を起こしてしまうと、保険金が支払われないリスクがあります。
家族が車を引き継いで乗る場合は、等級を引き継げる車両入替や記名被保険者の変更の手続きを速やかに行いましょう。
一方で、誰も乗る予定がなく廃車や売却をする場合には、速やかに解約手続きを行い、過払いとなっている保険料の返戻金を受け取る権利を確認する必要があります。
保険の手続きには、亡くなったことを証明する書類や、新たな所有者を証明する書類が必要になるため、車検証の名義変更とセットで進めるようにしましょう。
まとめ
自動車の相続税評価は、原則として中古車市場の取引価格をベースに考えます。
専門業者による査定を受けることが、より納得感のある評価額の算定につながります。
価値がないように思える古い車でも、財産として計上しなければならない点に注意し、他の遺産と合わせて漏れなく申告しましょう。
また、名義変更や保険の手続きなど、相続発生後には早急に対応すべき実務も多いため、全体のスケジュールを把握して進めることが大切です。
評価額の計算や、複雑な遺産分割協議書の作成に不安がある場合は、相続に詳しい税理士に相談し、スムーズな資産承継を実現することをおすすめします。
当事務所は完全予約制です