自分で相続税申告手続きをする際のメリットとデメリットとは
相続税申告は専門家に依頼するイメージが強いかもしれませんが、実は自分で行うことも可能です。
財産の状況や相続人の関係性によって、自分で対応できるケースと税理士への依頼が適しているケースがあります。
本記事では、相続税申告を自分で行う際のポイントとメリット・デメリットを解説します。
相続税申告は自分でも対応可能
結論から言えば、相続税の申告は自分で行うことが可能です。
相続する財産の種類が少なく、比較的単純な相続案件であれば、自分で申告手続きを進めるハードルはそれほど高くありません。
一方で、相続財産の種類が多岐にわたる場合や、相続人が複数いてトラブルの可能性がある場合などは、税理士に相談することがおすすめです。
専門家のサポートを受けることで、正確な申告と将来的なリスク回避につながるでしょう。
自分で申告することが比較的簡単なケース
ここからは、自分で相続税申告を行うことが比較的簡単なケースについて説明します。
相続税の申告は専門的な印象がありますが、条件によっては自分自身で十分に対応できる場合も多いのです。
ケース1:財産の種類や総額が少ない
財産の種類や総額が少ない場合は、自分で相続税申告を行うことは十分に可能です。
相続税申告において、最も複雑な作業となるのが土地の評価です。
相続する財産に土地が含まれていない場合は、自分で相続税申告を行うハードルはそれほど高くありません。
相続する財産が、預貯金や有価証券など、比較的評価しやすい財産のみであれば、必要書類を揃えて、申告書の作成することも取り組みやすいでしょう。
ケース2:法定相続人の人数が1人だけ
法定相続人が1人だけの場合、「遺産分割協議書」を作成する必要がなく、手続きがシンプルになります。
他の相続人がいないため、万一申告内容に誤りがあったとしても、他の誰かに迷惑をかけることもありません。
ケース3:時間的な余裕がある
相続税申告の手続きには想像以上に多くの時間と労力が必要です。
申告期限までに十分な時間的余裕があることが自分で進める重要な条件となります。
準備に余裕をもって取り組める環境であれば、自分で申告することも検討に値する選択肢です。
税理士へ依頼を検討すべきケース
続いて、相続税申告を自分で行うよりも、税理士への依頼がおすすめとなるケースついて解説します。
ケース1:相続税の基礎知識がない
相続税に関する基礎知識を持っていないケースでは、税理士へ相談することがおすすめです。
知識不足が原因で申告ミスをしたり、手続きに余計な時間を費やしたりする恐れがあります。
ケース2:相続人が複数人存在する
相続人が複数いる状況では、税理士への依頼を検討するのも選択肢のひとつです。
確定申告で誤りがあった場合、単に自分だけの問題ではなく関係するすべての相続人に迷惑がかかります。
ケース3:生前贈与が実施されている
生前贈与を実施している場合には、税理士への相談が必要となる可能性があります。
相続と贈与が複雑に絡む状況では、専門的な税務知識が求められるからです。
ケース4:時間に余裕がない場合
仕事の多忙さや高齢などの理由で時間的制約があるケースでは、税理士への依頼を検討しましょう。
相続税申告には多くの時間と労力が必要になるからです。
自分で相続税申告をする場合のメリット・デメリットについて
最後に、相続税申告を自分で行う場合のメリットとデメリットについて考えてみましょう。
以下で詳しく解説します。
自分で相続税申告を行う場合のメリット
相続税申告を自分で行う最大のメリットは、税理士報酬が不要になる点です。
申告を税理士などに依頼すると数十万円から数百万円かかりますが、自分で手続きすれば、それをカットすることができます。
自分で相続税申告を行う場合のデメリット
相続税申告を自分で行う場合には、いくつかの注意点があります。
適切な節税措置を見逃すリスクが大きいため、結果的に過大な税金を納めることになりかねません。
土地評価などの減額ポイントは専門知識がないと把握しづらく、税務署も納税者に有利なアドバイスをあまりしない傾向があります。
また、相続税申告は不慣れな作業のため、多くの時間と労力を要するかもしれません。
戸籍取得や残高証明書の入手など平日の対応が必要な手続きも多く、働いている方には負担となるでしょう。
専門的な財産評価にも時間がかかり、その間の機会損失を考えると税理士費用の方が経済的な場合もあります。
さらに、自分で作成した申告書は税務調査の対象になりやすいとされています。
万が一申告ミスがあった場合、税理士による書面添付制度の保護も受けられないため、過少申告加算税などのペナルティを負う可能性が高まるので注意が必要です。
まとめ
相続税申告は自分でも可能ですが、状況に応じた判断が重要です。
財産が単純で相続人が少ない場合は自分での申告も十分可能ですが、複雑な財産構成や複数相続人がいる場合は専門家への依頼が安心でしょう。
時間や知識の制約、節税機会の損失リスクがある場合は、税理士に相談することをおすすめします。
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